奇妙なことにMacOSには3種類のホスト名が存在します。それぞれ役割や設定方法が異なるため、混乱することもあるでしょう。
このブログでは、MacOSにおける3種類のホスト名の違いと設定方法、そして hostname コマンドによる一時的な変更手順について解説します。
結論: ホスト名を変更するときには HostName ・ ComputerName ・ LocalHostName をすべて変更しましょう。
1. HostName
概要
HostName は主にDNSやリモートアクセスの際に使用される正式なホスト名です。Macが外部ネットワークやインターネット上で一意に識別されるために用いられ、SSHやVPNなどのリモート接続でも参照されます。
用途
- SSHやVPNなどのリモート接続時の識別。
- 外部ネットワーク上でMacを特定する際の名前。
設定方法(永続的)
以下のコマンドで、再起動後も保持される形で HostName を設定します。
sudo scutil --set HostName 新しいホスト名
確認方法
現在の HostName は以下のコマンドで確認できます:
scutil --get HostName
また、 hostname コマンドもデフォルトで HostName を表示します。
hostname
2. LocalHostName
概要
LocalHostName はBonjour(Appleのゼロコンフィギュレーションネットワーク技術)で使用されるホスト名です。ローカルネットワーク内でのサービス検出に役立ち、通常は xxxx.local の形式で表されます。
デフォルトでは ComputerName を元に自動生成されますが、ハイフン( - )以外の特殊文字やスペースは使えない点に注意が必要です。
用途
- Bonjourを使ったローカルネットワークでの機器発見・サービス公開。
- ファイル共有やプリンター共有などの際に識別しやすくするための名前。
設定方法(永続的)
sudo scutil --set LocalHostName 新しいローカルホスト名
確認方法
現在の LocalHostName は以下のコマンドで確認できます:
scutil --get LocalHostName
ローカルネットワーク上で見える名前は xxxx.local のように「 .local 」が自動的に付加されます。
3. ComputerName
概要
ComputerName はシステム設定の「コンピュータ名」やFinderなど、主にユーザーインターフェース上で表示される名称です。ネットワーク上に表示されるラベルにも使われるため、他のユーザーが同じネットワークにいる場合は、ここで設定した名前でMacを認識してもらうことができます。
用途
- ネットワーク経由での共有やAirDropなど、ユーザーインターフェースでの表示。
- システム環境設定で視覚的にわかりやすい名前を示す。
設定方法
システム設定から変更する場合
- Appleメニュー > [システム設定] を開きます。
- [一般] > [情報] をクリック。
- 「名前」の横にあるフィールドを編集して新しいコンピュータ名を入力します。
ターミナルから変更する場合
sudo scutil --set ComputerName 新しいコンピュータ名
確認方法
現在の ComputerName は以下のコマンドで確認します:
scutil --get ComputerName
hostname コマンドでの一時的な変更
hostname コマンドを使って、ホスト名を一時的に変更することも可能です。ただし、再起動すると元のホスト名に戻るため、あくまでも緊急時やテストなどの一時的な用途に限られます。
sudo hostname 新しいホスト名
このコマンドを実行後、別のターミナルなどで hostname を実行すると変更が反映されています。しかし、再起動すると元の値に戻る点に注意してください。
まとめ:3種類のホスト名の違い
| 設定項目 | 確認コマンド | 主な用途 | hostname コマンドで表示されるか |
|---|---|---|---|
| HostName | scutil --get HostName | DNS名やリモートアクセスなど、外部ネットワークでの識別 | 表示される |
| LocalHostName | scutil --get LocalHostName | Bonjourを利用したローカルネットワークでの識別 | 表示されない |
| ComputerName | scutil --get ComputerName | Finderや共有設定など、ユーザーインターフェース用 | 表示されない |
- HostName を設定しない場合、macOS が自動的に
LocalHostNameやComputerNameを使う場合があります。 - ネットワーク環境によっては、これら3種類を明示的に設定しておくとトラブルを回避しやすくなります。
これでMacOSのホスト名に関する理解が深まったはずです。それぞれの役割を正しく把握し、目的に合った設定を行うことで、ネットワークやリモート接続時のトラブルを回避できるでしょう。 ぜひ自分の利用シーンに合わせて3種類のホスト名を適切に設定してみてください。