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Jan 3, 2025 - 日記

Pythonの非同期フレームワーク比較:asyncio, Trio, AnyIO

今日は、Pythonの非同期プログラミングフレームワークとしてよく出てくる、 asyncio , Torio , AnyIO について、どれ使えばいい問題をサクッと解決します。

TL; DR

どれを使えばいいの? → まず、AnyIO を検討しましょう

  • asyncio と Trio の両方に対応した統一API。
  • 柔軟で直感的なタスク管理とエラーハンドリング。
  • 今後の変更にも対応しやすく、初心者でも扱いやすい。

Pythonで非同期プログラミングを始めようとすると、「どのフレームワークを使えばいいの?」と迷うことがあります。本記事では、Python 3.13を前提に asyncio、Trio、そして AnyIO を比較し、それぞれの特徴と使いどころを解説します。

各フレームワークの概要

1. asyncio

asyncio はPython標準ライブラリの非同期フレームワークで、async / await 構文を使って非同期プログラミングが可能です。豊富なサードパーティライブラリを活用できる点が強みです。

特徴:

  • Python標準ライブラリ:追加インストール不要。
  • エコシステムの広さ:多くの非同期ライブラリが asyncio ベース。
  • イベントループ:タスクを効率的に管理。
import asyncio

async def say_hello():
    print("Hello!")
    await asyncio.sleep(1)
    print("Goodbye!")

asyncio.run(say_hello())

2. Trio

Trio は「使いやすさ」と「安全性」を重視したフレームワークで、構造化並行性(structured concurrency)に基づいて設計されています。タスクの管理が明確で、エラーハンドリングが直感的です。

特徴:

  • 構造化並行性:タスクの親子関係を明確に管理。
  • デバッグのしやすさ:エラーやキャンセルを直感的に制御。
  • asyncio との非互換:専用のエコシステムが必要。
import Trio

async def say_hello():
    print("Hello!")
    await Trio.sleep(1)
    print("Goodbye!")

Trio.run(say_hello)

3. AnyIO

AnyIO は、asyncio と Trio の統一的な抽象レイヤーを提供します。両者の良い部分を活かしながら、同じコードをどちらのフレームワーク上でも動作させることができます。

特徴:

  • 統一API:asyncio と Trio の互換性を提供。
  • 柔軟性:バックエンドを簡単に切り替え可能。
  • 直感的なタスク管理:構造化並行性を採用。
import anyio

async def say_hello():
    print("Hello!")
    await anyio.sleep(1)
    print("Goodbye!")

# asyncioバックエンドで実行
anyio.run(say_hello, backend="asyncio")

# Trioバックエンドで実行
anyio.run(say_hello, backend="Trio")

AnyIOの選択がオススメな理由

  1. 互換性を気にせずにコードを書ける

    • asyncio と Trio の両方に対応しているため、どちらのフレームワークを使うかで悩む必要がありません。
  2. 初心者でも扱いやすい

    • Trio ライクな直感的なエラーハンドリングやキャンセルモデルを採用しており、非同期プログラミングの学習曲線を緩やかにします。
  3. 将来的なフレームワーク変更に柔軟

    • プロジェクト開始時に asyncio を選んでも、途中で Trio に切り替えることが簡単。

実践:AnyIOでタスクを管理するコード例

以下は、複数の非同期タスクを同時に実行し、それぞれの結果を処理する例です。

import anyio

async def task(name: str, delay: int):
    print(f"{name} started")
    await anyio.sleep(delay)
    print(f"{name} finished")
    return f"{name} result"

async def main():
    async with anyio.create_task_group() as tg:
        tg.start_soon(task, "Task A", 1)
        tg.start_soon(task, "Task B", 2)

anyio.run(main, backend="asyncio")

出力例:

Task A started
Task B started
Task A finished
Task B finished

バックエンドを変更するには、以下のように引数を変えるだけです:

anyio.run(main, backend="Trio")

どのフレームワークを選ぶべきか?

  • asyncio:

    • 標準ライブラリを使いたい。
    • 豊富なサードパーティライブラリを活用したい。
  • Trio:

    • 新規プロジェクトで、安全で直感的な非同期モデルを採用したい。
    • asyncio よりも使いやすい設計が求められる。
  • AnyIO:

    • asyncio と Trio のどちらも利用できる柔軟性が欲しい。
    • フレームワーク選択に縛られず、将来の変更にも対応したい。

まとめ

Pythonで非同期プログラミングを始めるなら、AnyIO を使うのが最もおすすめです。asyncio のエコシステムを活用しながら、Trio ライクな直感的なモデルを採用しており、初心者から上級者まで幅広いニーズに対応します。 この記事が非同期プログラミングの理解を深める一助になれば幸いです! 😊

以下に各ライブラリの公式サイトやドキュメントへのリンクを示します。

公式リンク集

asyncio

Trio

AnyIO

これらのリンクを参考に、それぞれのライブラリの詳細や使い方を確認してください。また、サンプルコードやAPIリファレンスも充実しているため、実際にプロジェクトで使う際に役立ちます!