Fragments of verbose memory

冗長な記憶の断片 - Web技術のメモをほぼ毎日更新(準備中)

Feb 14, 2021 - コメント - 日記

IPFSとFilecoin

今日はIPFS というP2P分散ストレージプロトコルについてずっと疑問に思っていたことについて書こうと思います。暗号資産の文脈からFilecoin:FIL を出した方が通りが良い人もいるかもしれません。私の中でこの2つの関係が不明でした。なぜなら、IPFS自体は完全に無料で利用可能でIPFSを利用していてもFilecoinを要求されることはないからです。

IPFSデスクトップアプリ

IPFSとFilecoinの関係を(重い腰を上げて)調べようとしたら、ズバリ疑問に答えてくれるドキュメントがありました。

IPFSは、ユーザーがP2Pネットワークで検証可能なコンテンツアドレスのデータを保存して転送することを可能にします。IPFSユーザーは、自分自身のIPFSノード上に必要なデータを永続化します。これはピン留めと呼ばれています。データは、サードパーティのピン留めサービスを使用したり、個々のIPFSユーザーのグループを介してピン留めされることもあります。データは、あるユーザーがデータを保存している限り、ネットワーク内に存在し、他のユーザーが要求したときにデータを提供することができます。

IPFSには、他の人のためにデータを保存することを奨励する組み込みのメカニズムはありません。これがFilecoinが解決したい課題です。Filecoinネットワークは、長期保存のための分散型ストレージ市場を作る。大容量のストレージを持つノードは、ユーザーにストレージを貸し出し、その対価を得ることができます。

Filecoinネットワークは、データが安全に保存されることを保証する。しかし、保存(sealing)、検証(proving)、unsealing(for retrieval)のプロセスは計算量が多く、時間がかかることがある。これは特にデータの検索に関連しており、可能な限り高速に行われなければなりません。このため、Filecoinは専用の有償ノードが、sealingされていないキャッシュのコピーを保持することで、ネットワークからのコンテンツを迅速に配信することができる追加のretrievalマーケットを可能にします。この配信メカニズムは、IPFSを利用することができます。

Filecoinはコールドストレージ層として見ることができ、大量のデータを安全に保存するのに最適です。IPFSはホットストレージ層であり、コンテンツの迅速な検索と配信のために設計されています。 – Data storage incentivesより翻訳

これによるとFilecoin(のネットワーク)はIPFSの一部として動き、有償でファイルを預かるためのものであるとのことです。IPFSは配信の仕組みであり、Filecoinネットワークはインセンティブをもらったノードが他人のためのデータを預かるしくみです。

an additional retrieval market(追加のretrievalマーケット)と呼ばれているものは、利用者がコンテンツをたどり着きIPFSを介して高速にデータを提供するための方法を示唆しているように見えます。どうやらデータの効率的な保管のためsealingされているデータを高速配信のために展開して配信する現代のWebでいうCDNのようなサービスやユーザがコンテンツに素早くたどり着くためのGoogleのようなインデックスサービスに相当するのかもしれませんね。今後、FilecoinがもたらすインセンティブシステムはIPFSを活性化して、ここからまた多くの新しいビジネスが生み出されていくでしょう。今後も注目していきたいと思います。