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Dec 12, 2025 - 日記

Ethereum Glamsterdamアップグレード(2026年予定)の概要と主要機能

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2025年12月のFusakaアップグレード に続き、Ethereum は2026年前半に次期メジャーアップグレード「Glamsterdam」を予定しています。本記事では、Glamsterdamアップグレードの主要機能と、それがEthereumエコシステムにもたらす影響について解説します。

Glamsterdamとは?

Glamsterdamは、EthereumのロードマップにおいてFusaka の次に予定されているメジャーアップグレードです。名称は星の名前「Gloas」とDevconnect 開催都市「Amsterdam」を組み合わせたポートマントー(かばん語)です。

Ethereumのアップグレードは、コンセンサスレイヤー(CL)には星の名前、実行レイヤー(EL)にはDevconnect開催都市の名前を使用し、それらを組み合わせた統合名で呼ばれます。

2026年のQ1またはQ2頃にメインネットへの実装が見込まれており、現在は開発者コミュニティで仕様の調整が進められています。

主要機能:2つのヘッドライナーEIP

Glamsterdamには、すでに2つの主要EIP (Ethereum Improvement Proposal)が含まれることが決定しています。

EIP-7732: ePBS(Enshrined Proposer-Builder Separation)

EIP-7732 で提案されるePBSは、ブロック提案者(Proposer)とブロック構築者(Builder)の役割をプロトコルレベルで分離する仕組みです。

現在のEthereumでは、MEV-Boost 等の外部ソリューションによってPBS(Proposer-Builder Separation)が実現されていますが、これはプロトコル外の仕組みです。ePBSはこれをEthereumプロトコルに直接組み込みます(enshrined)。

主な特徴

  • ブロックをコンセンサス部分と実行部分に分離
  • バリデーターの分散化を維持しながら、MEV (Maximal Extractable Value)の最適化を可能に
  • 外部依存を減らし、プロトコルレベルでの公平性と透明性を向上

技術的詳細: ePBSは、コンセンサスレイヤーのみのアップグレードです。ブロック提案者が実行ペイロードの内容を検証せずにブロックを提案できるようにすることで、より効率的なブロック生成を実現します。

: 現在、バリデーターはMEV-Boostという外部サービスを通じてビルダーと取引しています。ePBSではこのプロセスがプロトコルに組み込まれるため、外部サービスへの依存がなくなり、より安全で透明性の高い取引が可能になります。

EIP-7928: BAL(Block-level Access Lists)

EIP-7928 で提案されるBALは、ブロックレベルでのアクセスリストを導入し、トランザクション実行の効率化を図る提案です。

BALは、ブロック実行中にアクセスされたすべてのアカウントとストレージロケーションを記録し、それらの実行後の値とともに保持します。これにより以下が実現されます:

  • ガス効率の改善: アクセス済みのストレージに対するガス割引(EIP-8057 との連携)
  • 並列処理の最適化: 事前にアクセスパターンがわかるため、トランザクションの並列実行が容易に
  • 状態検証の効率化: ブロック検証時に必要な状態データが明確に

Fusakaとの連携

Glamsterdamは、直前のFusakaアップグレードと密接に連携しています。

FusakaではPeerDASEIP-7594 )によってデータ可用性のスケーリングが実現され、blobのスループットが最大8倍に向上します。これにより、Layer 2 の取引手数料が大幅に削減されます。

Glamsterdamは、このデータ帯域幅の拡大に対応して、ネットワークが運用負荷を適切に処理できるようにする仕組みを提供します。ePBSによってブロック構築プロセスが最適化され、増大するデータ量を効率的に扱えるようになります。

その他の候補EIP

Glamsterdamには、ヘッドライナー以外にも複数のEIPが検討されています:

  • EIP-7805 (FOCIL): インクルージョンリスト機能の追加
  • 暗号化メンプールとサイレント閾値暗号化(Shutter プロジェクトによる提案)
  • その他のガス効率化・セキュリティ強化関連のEIP

最終的な仕様は2025年中に固まる見込みです。

ロードマップ上の位置づけ

Ethereumのロードマップは以下のように進行しています:

  1. Dencun (2024年3月実施)- blobの導入(EIP-4844
  2. Pectra (2025年5月実施)- blobターゲット数を3から6に増加
  3. Fusaka(2025年12月実施)- PeerDASによるデータ可用性のスケーリング
  4. Glamsterdam(2026年Q1-Q2予定)- ePBSとBALによる運用効率化
  5. その後の展開 - 6秒ブロックタイムの実現、10万TPSへの道筋

Glamsterdamは、Ethereumが最終的に「Surge-Verge-Purge-Splurge」フェーズへ進むための重要なステップとなります。

開発状況と注意点

2025年11月時点で、Ethereum Foundation の共同ディレクターは、Fusakaの実装に集中するため、Glamsterdamに関する議論を控えめにするよう開発チームに呼びかけています。

Glamsterdamの詳細仕様はまだ流動的であり、今後の開発者会議で調整が続けられる予定です。

まとめ

Glamsterdamアップグレードは、2026年に予定されているEthereumの次期メジャーアップデートです。主要機能として以下が含まれます:

  • EIP-7732(ePBS): ブロック提案者と構築者の役割をプロトコルレベルで分離
  • EIP-7928(BAL): ブロックレベルのアクセスリストによる効率化

これらの機能により、Ethereumはスケーラビリティと分散化を両立させながら、より効率的なネットワーク運用を実現していきます。

Fusakaで拡大したデータ帯域幅を、Glamsterdamで効率的に処理できるようにすることで、Ethereumは大幅なスループット向上という長期目標に向けて着実に前進していきます。

参考リンク